Q 弁護士が介入すると賠償額が増額されるというのは本当ですか?
A 必ず、増額されるというわけではありませんが、増額される可能性があります。
一般の方にはあまり知られていませんが、交通事故の賠償金の支払いには、
①自賠責保険基準
②任意保険基準
③裁判所基準と3つの基準があります。
そして、同じ事故であっても、それぞれに賠償額の基準が異なるのです。
③裁判所基準 > ②任意保険基準 > ①自賠責基準
の順番で賠償額に違いが出ます。
一般の方が保険会社と示談交渉すると任意保険基準が基礎となります。
しかし、任意保険基準は、いわば保険会社内部の支払基準にすぎません。
さらにいえば、示談交渉の段階では、保険会社はこの任意保険基準を基礎にさらに低い金額を提示してくる場合もあります。
裁判所の基準は、法律に基づいて正当にあなたの損害を評価した基準です。
一般に、任意保険基準は裁判基準の7割程度であるといわれています。
したがって、請求する損害賠償額が大きくなればなるほど、任意保険基準にしたがった場合と裁判基準にもとづいた場合とでは、支払を受ける金額に大きな差が生じてきます。
弁護士は、裁判所基準を基礎として示談交渉を 進めますので、より裁判基準に近い金額での解決を目指します。
このことは、単に獲得金額が増えるという意味ではありません。
あなたが被った損害をより完全なものに近づけるものであり、本来得られるべきものを獲得するという意味なのです。
裁判所の基準は、これまで裁判で争われた非常に多くの事例の集積から導きだされた客観的な相場のようなものです。
損害の程度が大きければ、相手方保険会社から提示される額は大きい場合がありますが、その額が客観的にみて妥当かどうかはきちんと見極める必要があるのです。 なお、あなたが弁護士費用特約付きの保険に加入して いれば、弁護士費用の心配がいらなくなる場合があります。
以上のことは、 ご存じない方が多いので、自ら示談交渉をした場合、保険金が増額されて得をしたつもりでも、実は知らないうちに大きな損をしていることがあるのです。